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「見守る保育」藤森メソッド

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 Japanese Childcare Method 『HOIKU』 by HEIJI FUJIMORI

      A practical childcare & curriculum guide based
     on Mimamoru philosophy toward social networks from the dyad. 
 

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八王子市長房南保育園(2017)

年度2017年(平成29年)評価機関:評価基準研究所(IRES)
担当評価者評 価 者 氏 名
①倉掛 秀人②伊藤 賢③秋山 由美④谷口 仁宏
福祉サービス種目

評価対象事業所名称
認可保育所
八王子市立長房南保育園〒193-0824℡042-664-7-1471
所在地東京都八王子市長房長520-54号棟
園長  土方 邦子

今回、第三者評価を受審してのご感想(256文字以内)

事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)のうち、特に重要なのも

1)子どもの人権・人格を尊重し、慈しみや思いやりの心で一人ひとりを大切にした
 支援を行う
2)子どもの思いを受け止め、保護者を支援する
3)日本の古き良き習慣・日本の心を伝承していける取り組みを通して「心を育てる
 保育」をする
4)地域の人々にも安心して集っていただけるような「地域の大きな家」を目指していく
5)地域との連携を取りながら、地域全体で次世代育成支援をしていく

期待する職員像

(1)職員に求めている人材像や役割

・日々のミーティングを通してコミュニケーションを活性化し、情報共有や意見交換が充実
 し一人ひとりが主体的に業務に取り組む。
・自身の保育を振り返り、保育指針や理念、方針を照らし合わせ理解・把握し、自園の
 保育を語れる。

(2)職員に期待すること(期待を持って欲しい使命感)

・職員間での内部牽制力により互いに切磋琢磨し合い、一人ひとりの意識を高め業務に
 あたることで、個々のスキル及び園全体への質の向上につなげられること。
・園児及び保護者の思いに寄り添えること。
・専門職としての自覚を持ち、資質向上のための努力の気持ちを持ち続けられること。

特に良いと思う点

タイトル保育園は「地域の大きな家」構想を掲げて地域の高齢者との交流を深めるなど、子どもを中心に人の繋がりを豊かにすることを目指している
内容

地域の方を招いて開いてきた月1回の茶話会から子どもとの交流やボランティア活動が生まれ、「みんなが家族」のように心の通いあう雰囲気が醸成されている。茶話会は現園長が平成27年度から始めたものだが、今では毎月15人以上の高齢者が参加するようになった。核家族の中で育っている園児にとっては祖父母のような、また園で働く職員にとっては家族の一員のような付き合いができている。こうした交流から、子どもには感謝する気持ちや自己肯定感が育ち始めており、保育園が児童福祉施設であるという原点を見失わない経営がなされている。

タイトル園としての自己評価で見つけたいくつかの課題を各職員が自分の課題として取り組んでおり、その解決度合いが目標達成の指標になっている
内容

園全体で取り組む課題が、職員各自の目標となることで、組織が一丸となって問題解決に当たる仕組みができている。またいくつかある課題の解決度合いが目標の達成度を示す指標にもなっている。この仕組みは、前年度の保育の質を組織として自己評価し、その課題を解決するために、職員全員で分担する中から生まれた。それまで人事考課と連動して各自が立てていた目標を、園全体の課題と連動させることで実現した。園の課題は、教育の5領域とも関連を持たせており、保育の内容〜組織〜個人のつながりのあるPDCAサイクルとなっている。

タイトル理念実現のための独自プログラム「和の保育」の確かな実践が子どもたちの体験を多様にし、温かな安心感と保育の質の向上をもたらしている
内容

「日本の心を育み、伝えていく」という保育方針の実現のためには保育課程の更なる深化が必要と考え、自然・心・礼節・伝統の4本柱からなる「和の保育」プログラムを独自に構築。例えばコップを使い始めるという簡単なこと(0歳児)を煎茶道(5歳児)につなげていくような、生活と遊びの中の体験を文化的で協働的な「経験」に高めていく方法で、多様な実践を重ねている。この「心を育てる」という理念は、子どもたちと保護者、そして地域にじっくりと浸透し、園のあたたかな空気感と、かけがえのない園としての地域での存在価値を創り出している。

事業者が特に力を入れている取組み

タイトル①子どもや保護者に限らず地域にとっても必要不可欠な「地域の大きな家」になっている
内容①本園は八王子市の指定管理者として平成27年度から2期目に入った公立保育園である。法人の理念に基づき、児童福祉施設としての社会的使命の実現に力を注いできた。園は都営団地の1階にあり、建て替えの時期を迎えているが、保育環境は室内も園庭も、遊具の充実が図られ、子ども主体の保育を展開している。優れているのは、保護者や地域を保育の人的環境として取り込んでいること。それは園児の生きる力の基礎をなす自信や自己肯定感を育むことに役立っている。地域の大きな家として子どもにも地域に不可欠な役割を果たしており、継続してほしい。
タイトル②職員が多様な手法で自己評価を積み重ねており、記録を残しながら質を高めている
内容②組織としての自己評価結果の「長房目標」や、理念チェックシートを使った振り返りなど、園全体と個人の課題を分析した上で、取り組むべき目標を明確にしながら運営している。振り返りも会話と筆記の両方を実施。職員が毎日15分の話し合いを持ち、子どもの姿を語り合っている。毎日の保育日誌はエピソードで、一人ひとりの姿を捉えて職員が自らの保育を綴っている。保育者の専門性の核にある「省察」に焦点を当てた地道な積み重ねが、職員と保育の質を向上させている。計画と結果の関係を省察できる専門性を育てるキャリアマネジメントになっている。
タイトル③子どもの様子を動画でも見ることができるようにして保護者との信頼関係を深めている
内容③

本園は以前から子どもの園生活の様子を保護者に伝えるための可視化に力を注いできたが、今年から保育の様子を動画に収めてお迎えの時に見てもらう「見える化」を始めた。これまでも行事やイベントの活動を模造紙に写真で掲示するようなドキュメンテーションを掲示してきた。しかし伝えきれない子どもの姿や育ちをどうしたら理解してもらえるかが課題だった。そこで保育中の子どもの様子を動画で撮り、見てほしい場面にタイトルをつけてタッチパネルの小型モニターを玄関に置いた。保護者と子どもの育ちを共有しやすくなり、距離が縮まったという。

評価項目
日常の教育・保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している(6-4-3)

タイトル①静と動の2つのゾーン構成が遊びを発展させ、子どもたちの主体性・集中力を育んでいる
内容①

3~5歳児の保育室は、大きな空間を2つのゾーンに切り分けた形になっている。ひとつは大勢の子どもで遊ぶ動的な「なかよしゾーン」。もうひとつは、一人ないし二人でじっくりと遊ぶ「ねっちゅうゾーン」。現在の保育スタイルを採用した当初、コーナーの細分化につながり遊びが発展しなかったという反省から、遊びを観察し子どもが興味を持つものを優先的に充実させる方法をとった結果、こうしたおおまかなゾーニング構成に至ったという。子どもたちが集中力をもって主体的に遊び込む姿は、子どもの興味・関心に基づいた環境構成の結実であろう。

タイトル②時間を保障し成果を尊重する環境づくりで、子どもの興味関心を引き起こす工夫している
内容②

ゾーン構成の見直しに加え、「残しておいてあげよう」「とちゅうのものは触ってはいけない」という簡単なルールを作り、遊びの時間と遊びの成果を尊重しながら子どもの様子を見守ってきた。その効果は、子どもたちが集中して遊びに取り組む姿と、遊びの成果の素晴らしい作品となって表れた。心ゆくまで遊べる安心感を土台にした「気持ちを切り替える力」が子どもたちの中に育ってきていることに、園は手ごたえを感じている。子どもの自発性を育む遊び環境の工夫が、そこでの遊びを通して子どもの「心」を育てることにつながっていることを評価したい。

タイトル③ 
内容③

 

評価項目
日常の教育・保育に変化と潤いを持たせるよう、行事等を実施している(6-4-4)

タイトル①日常の遊びや関係を行事につなげる方法で、子どもの主体的な取り組みを可能にしている
内容①

根本に、「行事は日常の保育から立ちあがるもの」という考えがある。2歳児クラスで流行した「バスごっこ」の遊びが敬老会での出し物になり、運動会の親子競技になったという例や、3〜5歳児のグループで人気を博した絵本が夏祭りの制作モチーフになり、運動会の競技に取り入れられたといった好事例も見られた。子どもたちの日常の遊びが行事へと発展することで、子どもたちの無理のない主体的な取り組みを可能にしている。この自然な流れが、ひとつの行事から次の行事へのつながりを生み、年間を通して保育を豊かにしている。

タイトル②グループ分けの工夫により、協力し団結する喜びと達成感を体験できるよう工夫している
内容②

日常の保育では、異年齢による自発的な遊びが中心になっているが、行事では、年齢別の活動も取り入れ日常とメリハリをつけている。例えば運動会では、思いやりや共感をねらいとする場合は異年齢チーム競技、集団での協力や達成感をねらいとする場合は年齢別の競技というように。年齢別の競技は、下の子が上の子の姿に憧れ、それが模倣遊びになり、次の年の自分たちの競技につながるなど、いいサイクルを生んでいるようだ。いつもとは違ったアプローチで取り組む行事が、保育に厚みを持たせ、子どもたちの次の活動へのエネルギーになっている。

タイトル③行事に至るまでの日常保育のプロセスを、細やかに保護者に伝える方法を工夫している
内容③

園が4大行事と位置付けるものに「夏祭り」「運動会」「作品展」「お遊戯会」がある。これらの行事はみな、保護者(や地域の人たち)に見せる行事だが、園ではこうした行事に際し、練習や制作などの過程を掲載した新聞、準備や練習の間に見えてきた子どもの姿をまとめた学年だよりを作成、掲示し、行事までのプロセスや行事の主旨を丁寧に保護者に伝えている。これは、「たとえ本番で失敗したとしても、そこに至る日々には楽しい活動があったということを伝えたい」という思いからだ。活動を動画で紹介するタブレットなど、さらなる工夫もされている。

評価項目
子どもが食事を楽しめるよう、指導・援助している(6-4-6)

タイトル①日常的に調理を手伝い、自分の適量を年齢の異なる仲間と一緒に楽しく共食している
内容①

子どもたちが、野菜ちぎりや皮むきを日常的に手伝い、給食時に手伝った内容を園内放送するなど、子どもが自ら食の営みに関わる工夫を重ねている。配膳は、苦手なものは無理強いせず、申告に基づき食べられる量を提供するスタイル。ランチルームでは、年齢の異なる子どもたちで同じテーブルを囲むよう目印をつけ、子どもたちが共食の楽しみを味わえるようにしている。食のそれぞれの段階で、子どもの心に寄り添った方法と環境になることを目指している。声をかけ、待ち、話し、いっしょに食べる食事の場に、心を育てるという園の理念が表れている。

タイトル②食物アレルギーや偏食など一人ひとりに配慮しながら子どもの食への意欲を伸ばしている
内容②

食物アレルギーも個別に対応している。献立は予め保護者と確認して立てる。誤配や誤食がないよう十分に配慮している。配膳トレーに名前と除去食を書いたカードを乗せて、厨房から引き取る時と喫食前の2回、職員が内容を声出し確認する。食べるときは職員が必ずそばに着く。一緒に食べることで少しずつ食べる意欲を伸ばしていく細やかな対応によって、確かな手ごたえが出てきているようだ。「一人ひとりを大切に」という園の理念が、食の営み全体の中で実践されている。

タイトル③日本の郷土食を味わいながら、全国各地の和食の中に異文化を感じる食育を展開している
内容③

「広げよう、みんな家族」の合言葉のもとに、献立の中に日本各地のさまざまな郷土食を取り入れてきた。廊下にはその日本地図が掲示してある。「ののこめし(鳥取県)」「太平燕(熊本県)」などの献立は給食スタッフが企画した。この実践には「他者・異文化への理解、共生、互いの認め合い」というねらいがある。と同時に園の保育方針である「和の保育」ともなっている。日本中の郷土食を「食べ尽くした」いま、意欲的は給食スタッフの視線は世界に向かっているという。さらなる異文化理解の深まりと子どもたちの認識の広がりに期待したい。

ごあいさつ

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